チクチクチクチク、リズムに乗って縫い進めていくと知らぬ間に心が無になり、やがてキュッと集中している感覚がやってきます。
と、同時にどこか癒やされているような落ち着いた気持ちでいる自分に気づきます。
そうなると自ずと自分との対話がはじまっているものです。
今抱えている問題、行動に移すかどうか迷っていること、昨日あの人から言われた言葉の意味、そんなただ頭の中でグルグルしていたことを、今のこの状態で見つめ直してみると、新たな視点で見ることができ、捉え方が違ってくるのです。
それはほとんどの場合ポジティブな変化であると思います。
私はこの問題をこう捉えていたけれど実際はこういう風に捉えた方が自然じゃないだろうか、絶対にできないと思っていたけど周りの人に協力してもらえたらできるんじゃないか、あの人はきっとこう考えてそう発言しただけで私が勝手にひねくれて受け取っただけではないか、などなど。
もちろんすべての問題をすぐに解決できるわけではありませんが、心の持ち方で見え方や感じ方が変わる、そのことに気づく機会をもつことができます。
手先を使った作業は脳内のリフレッシュ効果があることがわかっています。
あなたも単純作業の繰り返しで頭が空っぽになるような経験をしたことはありませんか?
普段あまり裁縫はしないという方も、「落ち着いた時間をもつ贅沢を味わう」と考えてみてはいかがでしょう?
少しぐらいガタガタになったって、気にすることはありません。自分で繕った箇所に愛着を持てるのは素敵なことです。
時々チクッと指を刺したりしながら進めてみましょう。
まずは外れてしまったボタン付けや、穴が開いてしまったくつ下を繕ってみるところから始めてみるのはどうですか?