義政も信長も夢中!伝説の香木、蘭奢待

義政も信長も夢中!伝説の香木、蘭奢待

奈良の東大寺正倉院には現在も伝説と呼ばれる香木が保管されています。1.5mもあるその巨大な香木の名は蘭奢待(らんじゃたい)。奈良時代にはすでにあったとされますが、そう呼ばれるようになったのは室町時代からで、「猛々しく奢った侍が必ず欲しがる」からだと伝えられています。ちなみに蘭奢待の別名は東大寺なのですが、その理由は蘭奢待の文字をよく見ると「東大寺」という文字が隠されているからだそう。

ではその蘭奢待を欲しがった、猛々しく奢った侍とは誰のことなのか・・・ 噂では足利義満、足利義教、足利義政、織田信長、徳川家康など名だたる面々が並びますが、蘭奢待を切り取った人物として正式に記録が残されているのは足利義政、織田信長、明治天皇の3名のみ。現在も切り取られた箇所にそれぞれの名が書かれた付箋が付けられているのだとか。
そもそも香木コレクターでもあった義政は香文化の発展に力を注いでいましたが、慈照寺銀閣の弄清亭で歴史上初めて蘭奢待の一片を切り取り炊き上げます。その出来事は人々の間に広まり、やがて「蘭奢待を持つもの=天下人である」という伝説となっていきます。

さて、その伝説を巧みに利用したのが信長です。東大寺に出向き、義政が切り取ったすぐ横に同じくらいの大きさ、同じような形で一片を切り取らせ、蘭奢待を手に入れます。つまりそれは足利家の天下が終わり、次は自分の時代である、我こそが天下を統べる者である、と世に知らしめるためのものでした。

また、信長は武将たちへの報奨として小さく切り分けた蘭奢待を与え、城や国よりも価値あるものと位置付けました。つまりは報奨として与える城や国が十分になかったため、それならばより価値が高いものを作れば良いと、伝説の力を利用し蘭奢待を所有できるというステータスを与えたわけなのですが、信長の手腕には驚かされるばかりです。

最後に、信長が手に入れた蘭奢待は半分は時の天皇に、そして残りの半分は信長が茶会を開きその席で焚かれたとされています。ちなみにその茶会には千利休も招かれており一緒に蘭奢待の香りを楽しんだのだそう。伝説の蘭奢待の香りはどのようなものだったのでしょう。ロマンが広がりますね。

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